皆さん、「コンビニ人間」読んだことありますか?
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そう、第155回芥川賞を受賞した小説。
私はずっと書店で気になっていたけれど、
なかなか読めなかった1冊…。
思っていたよりも短くて(文庫で160ページほど)、
少し時間があれば読めてしまいます。

わかる、この生きづらさ。
と思ったこの小説。
それでは、以下感想です。
初めに:誰が書いた本?
コンビニ人間は、小説家の村田沙耶香さんが書いた本。
村田さんは1979年、千葉県印西市生まれの女性で、
10歳から小説の執筆を始めたそう。
「コンビニ人間」は、村田さんが大学時代に
コンビニでアルバイトをした経験を元に書かれています。
①現代社会の「〇〇」を問う本
社会における、「普通」とはなんでしょう。
特に、「女性」にとっての「普通」とはなんでしょうか。
高校を卒業して、専門学校や短大、大学に行って。
就職して、良い結婚相手を見つけて、円満な家庭を持つこと?
子供を産んで、一人前に育てること?
それとも…
大人しくして、反発せず、人に迷惑をかけないように、
心配をかけないように、生きること?
普通と言っても色々ありますね。
もしかしたら、あまり考えずに今まで生きてきた人も、
考えたことがあってもそんなに悩まずに生きてきた人もいるかもしれません。
みんなにはできる「普通」。
しかし、自分にはわからない「普通」。
本書の主人公、古倉恵子は、そんな世の中の「普通」がわからない36歳の独身女性。
本書は、彼女を主人公に、「多様性社会」の中の「普通圧力」を問う本です。
②ギリギリ話せるあらすじ
古倉は、大学を卒業してからも、
ずぅぅぅぅっっっっっとコンビニアルバイト一筋で生きている人間。
「コンビニ」のご飯で身体は作られ、
「コンビニ」で共に働く人の影響を受けてアイデンティティが作られ、
「コンビニ」のことを考えて1日を過ごし、
そして、翌日の「コンビニ」バイトのために生活を整える。
そんな女性です。
古倉は18年間、コンビニバイトをしながら
変わらぬ日々を送ります。
ある日、婚活目当ての新人男性、白羽がバイトに入ってきます。
実は、白羽も古倉と同じように、
社会における「普通」に生きづらさを感じる1人でした。
しかし、問題行動により、すぐにアルバイトを辞めてしまいます。
辞めたらそれで終了〜!
となるはずなのですが…!!!!!!!
なんと、2人は後に利害関係の一致から同棲を始めてしまうのです。
え………!!!!????
そして、周囲の目が怖くない「普通」を生きるために、
古倉はバイトをやめ、就職活動を始めます…
ギリギリあらすじはここまで。
この後が気になる方は実際に読んでみてください。
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③え、面白い。わかる、この生きづらさ。
コンビニ人間を読んで、特に印象に残った部分があります。
私は生まれたばかりの甥っ子と出会った病院のガラスを思い出していた。ガラスの向こうから、私とよく似た明るい声が響くのが聞こえる。私の細胞全てが、ガラスの向こうで響く音楽に呼応して、皮膚の中で蠢(うごめ)いているのをはっきりと感じていた。
コンビニ人間(文庫) p161
主人公の甥っ子が生まれた病院。その様子を見ている主人公。
病院の中の、ガラスで囲まれた空間の中で、甥っ子が声を上げています。
これは、コンビニのバイトをやめた主人公が、
就職活動をしている最中、コンビニのガラスに映る自身の姿を見て空想をしているシーンです。
や、もう読んだ瞬間、衝撃です。
コンビニも病院の中も、同じようにガラスで囲まれていて、
中には音楽が流れていて、元気な声も聞こえるけれど……………!!!!!
ここまで行くとすごすぎて。
なんか、後味全然よくないのに
パチパチパチパチーーーー!
と拍手したくなりました。笑
「コンビニ」によって「普通」を演じる主人公。
どんなふうに生きても良いのに「普通」を無言で求められる社会の生きづらさが描かれています。
普通に生きるのって案外難しい。
アルバイトをし続けて生きるのだって、人生。
人には、人の、生き方があります。
どれが正解、不正解なんて、本当はないはず………。
どんな人生を生きようか、考えられる本でした。
まとめ:多様性社会は本当に多様性社会なのか?
「多様性を認める社会」と言いつつ、
実はどこか「普通であること」を求められる現代。
そんな少し生きづらい社会を
コンビニと主人公の関係性から描き出している小説です。
ぜひみなさんも読んでみてくださいね。
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