![]() | モチベーション脳 「やる気」が起きるメカニズム (NHK出版新書 693 693) [ 大黒 達也 ] 価格:968円 |

モチベーションが上がらないという経験、誰もが一度はしたことがあるかと思います。
やる気が上がらないのは、自分だけの問題なのでしょうか。努力が足りないからモチベーションが上がらないのでしょうか。
本書では、東京大学、ケンブリッジ大学で人間の脳の研究を行う大黒達也氏が脳の「統計学習」の観点からモチベーションについて解説します。
実は、モチベーションが上がらないのは脳の機能による必然的なもの。
あなたも本書を読んで、脳の機能について知り、うまく利用することで、今までよりさらにワクワクした人生を送ってみませんか?
統計学習とは何か?
統計学習と聞いてピンとくる人はごくわずかではないでしょうか?
統計学習とは、身の回りで起こる出来事の統計的な確率を自動的に計算する脳の働きです。意識的ではなく無意識に行われるところがポイントです。
といっても、なかなかイメージがつきづらいと思うので、いくつか例をあげて紹介します。
「今日は休日だから、朝道路は空いているだろう」「厚くて灰色の雲が見えるからもう少ししたら雨が降りそうだ」もしくは「あの人はいつもこのくらいに出勤しているから、今日もこのくらいに出勤するだろう」など、意識的に行なっているわけではありませんが、今までの経験から勝手に予測が立てられるこの脳の働きが統計学習です。
つまり、統計学習とは、「確かなことはわからないけれど、経験に基づくとこんな確率で起こるだろう」とする、私たちの脳の持つ自然な働きと言い換えられます。
ためになった文
次は、私が読んでためになった文章を紹介します。
「絶妙なズレ」が意欲を起こす
…ある程度理解ができるけれど、ちょっとわかりにくい「予測や経験からの微妙なズレ」が知的好奇心や興味を刺激し、学習意欲を湧かせるのです。…
p48
先ほど、統計学習について簡単に説明しましたが、統計学習は「不確実性の減少」や「予測精度の向上」が報酬となります。
ですから、不確実性の高い情報に触れた時、脳は報酬を得るために自然と「不確実性を下げたい」と感じます。そして、この不確実を下げたいとする脳の働きこそがモチベーションにつながるのです。
しかし、私たちがあまりにもわからないことに直面した時、脳は逆に働かなくなってしまいます。
例えばみなさんも、脳科学について知識があるから、面白くこの本やブログを読めるわけで、もし何もわからなければ、1分間向き合うのも大変で、しまいには逃げたくなることでしょう。
だからこそ、モチベーションを上げるために必要なのは、私たちの努力よりは、脳が勝手にモチベーションを生み出すような「微妙なズレ」のあることに取り組むことが大切なのです。
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